Webアクセシビリティ対応本気で検討できてますか？

改正により、「Webアクセシビリティ義務化」という文字を目にする機会が増えてきました。しかし「障害者差別解消法」には「Webアクセシビリティ」という文言の記載はなく、具体的に何をするかの指示はありません。それではWebアクセシビリティについて、改正法ではどのように扱われているでしょうか。

施設や設備のバリアフリー化をはじめとする、障害者に対する「事前的改善措置」に「情報アクセシビリティの向上」が含まれています。事業者はこの「事前的改善措置」に対し「環境の整備を努力義務としている」と読み解けます。では、Webサイトにおける「環境の整備」とは具体的に何を指すのでしょうか。基本方針文書の中に、「合理的な配慮」と「環境の整備」のWebサイトを例にした記載があります。

「求められた場合のみ対応が必要」な行為が「合理的な配慮」であり、対応できる体制が「環境の整備」とも受け取れます。この基本方針をもとに「合理的な配慮」の義務化=「Webアクセシビリティ義務化」と言うのは飛躍しすぎているかもしれません。しかし「障害者差別解消法」にあるように、世の中が「障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会を作ることを目指している」のであれば、Webアクセシビリティ対応は社会的責任としてなされるべきではないでしょうか。現に海外ではWebアクセシビリティに関する法律が定められ、アメリカでは2015年に100件未満だったWebアクセシビリティ訴訟が、2022年では3000件前後になったとも言われています。アメリカでの訴訟は国内にとどまらず世界中に影響を及ぼしています。今現在、日本国内でWebアクセシビリティ対応を原因とした訴訟が起こったという話はでていませんが、リスクも考慮しながらWebアクセシビリティ対応を進めていく必要があります。